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【医師監修】婦人科の症状別ガイド|こんな症状があったら受診を|原因と対処法を解説

【医師監修】婦人科の症状別ガイド|こんな症状があったら受診を|原因と対処法を解説

2025/11/20(Thu)

【医師監修】婦人科の症状別ガイド|こんな症状があったら受診を|原因と対処法を解説

「これって婦人科に行くべき症状なのかな?」と迷ったことはありませんか? 生理痛、不正出血、おりものの異常、下腹部痛など、女性特有の体の悩みは多岐にわたります。しかし、「このくらいで病院に行っていいのかな」「恥ずかしい」といった理由で、受診をためらう方も少なくありません。 この記事では、婦人科を受診すべき代表的な症状と、それぞれの原因や対処法について、産婦人科医の視点から分かりやすく解説します。あなたの体からのサインを見逃さないために、ぜひ参考にしてください。

婦人科を受診すべき症状チェックリスト

以下の症状に当てはまるものがあれば、婦人科の受診をおすすめします。

月経に関する症状

  • 生理痛がひどく、日常生活に支障がある
  • 市販の鎮痛剤が効かない
  • 月経量が異常に多い、または少ない
  • 月経周期が不規則(24日以内、または39日以上)
  • 2ヶ月以上月経が来ない
  • 月経期間が長い(8日以上)、または短い(2日以内)

出血に関する症状

  • 月経以外の時期に出血がある(不正出血)
  • 性交後に出血する
  • 閉経後に出血がある

おりものに関する症状

  • おりものの色が黄色、緑色、茶色などに変わった
  • おりものの量が急に増えた
  • 悪臭がする
  • 外陰部にかゆみがある

痛みに関する症状

  • 下腹部痛が続く
  • 性交時に痛みがある
  • 排便時に痛みがある
  • 腰痛がひどい

その他の症状

  • 月経前にイライラや気分の落ち込みが激しい(PMS)
  • ほてり、のぼせ、発汗などの更年期症状がある
  • 妊娠を希望しているが、1年以上妊娠しない

「自分の症状は大したことない」と思わず、気になる症状があれば気軽にご相談ください。

症状別:原因と対処法

1. 生理痛がひどい

どんな症状?

  • 下腹部の激しい痛み
  • 腰痛
  • 吐き気、嘔吐、下痢
  • 起き上がれないほどの痛み
  • 鎮痛剤を飲んでも効かない

考えられる原因

機能性月経困難症

  • 子宮を収縮させる物質(プロスタグランジン)の過剰分泌
  • 10代〜20代に多い

器質性月経困難症

  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 20代後半以降に多く、年齢とともに悪化する傾向

こんな時はすぐ受診

  • 学校や仕事を休むほどの痛み
  • 年々痛みが強くなっている
  • 月経以外の時期にも下腹部痛がある
  • 妊娠を希望しているが授からない

治療法

  • 鎮痛剤(NSAIDs):痛みが出る前に服用するのがポイント
  • 低用量ピル:排卵を抑制し、痛みを軽減
  • IUS(ミレーナ):子宮内に装着するホルモン放出システム
  • 漢方薬
  • 手術療法(重症例)

自分でできる対処法

  • お腹や腰を温める
  • 適度な運動やストレッチ
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理

2. 月経量が多い・少ない

月経量が多い(過多月経)

どんな症状?

  • 1〜2時間ごとにナプキンを替える必要がある
  • 夜用ナプキンでも漏れてしまう
  • レバーのような血の塊が出る
  • 立ちくらみ、めまい、息切れ(貧血症状)

考えられる原因

  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜ポリープ
  • ホルモンバランスの乱れ

治療法

  • ホルモン療法(低用量ピル、黄体ホルモン剤)
  • IUS(ミレーナ)
  • 鉄剤の補給
  • 手術療法(筋腫核出術、ポリープ切除など)

月経量が少ない(過少月経)

どんな症状?

  • ナプキンがほとんど汚れない
  • 1〜2日で終わってしまう

考えられる原因

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 無排卵
  • 早発卵巣不全
  • 子宮内膜の癒着(アッシャーマン症候群)

こんな時は受診を

  • 妊娠を希望している
  • 急に月経量が減った
  • 他の症状(体重増加、むくみ、疲労感など)がある

3. 月経周期が不規則

どんな症状?

  • 月経が24日以内で来る(頻発月経)
  • 月経が39日以上空く(希発月経)
  • 周期がバラバラで予測できない
  • 2ヶ月以上月経が来ない(無月経)

考えられる原因

  • ストレス
  • 過度なダイエットや激しい運動
  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
  • 甲状腺機能異常
  • 高プロラクチン血症
  • 早発卵巣不全
  • 更年期の始まり

こんな時はすぐ受診

  • 2ヶ月以上月経が来ない
  • 妊娠を希望している
  • 体重の急激な変化、体毛の増加、ニキビなどの症状がある

治療法

  • 原因に応じたホルモン療法
  • 生活習慣の改善
  • ストレス管理
  • 適正体重の維持

4. 不正出血

どんな症状?

  • 月経以外の時期に出血がある
  • 性交後に出血する
  • おりものに血が混じる

出血の色から考えられること

鮮紅色(鮮血)

  • 子宮頸管ポリープ
  • 子宮頸部びらん
  • 性交時の傷

茶褐色・黒っぽい

  • 排卵期出血
  • 着床出血
  • 子宮内膜症

黄色・緑色

  • 感染症(子宮内膜炎、性感染症)

考えられる原因

病気によるもの(器質性出血)

  • 子宮頸がん・子宮体がん
  • 子宮頸管ポリープ
  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮内膜症
  • 感染症(クラミジア、淋菌など)

ホルモンバランスの乱れ(機能性出血)

  • 排卵期出血(中間期出血)
  • ストレス
  • 無排卵

こんな時はすぐ受診

  • 閉経後の出血
  • 性交後に毎回出血する
  • 大量の出血
  • 2週間以上だらだらと続く出血
  • 悪臭を伴う出血
  • 下腹部痛や発熱を伴う

治療法

  • 原因となる病気の治療
  • ホルモン療法
  • ポリープの切除
  • がんの場合は専門的治療

5. おりものの異常

正常なおりものとは?

  • 色:透明〜白っぽい、クリーム色
  • 量:下着が少し湿る程度
  • におい:無臭、またはわずかに酸っぱい匂い
  • 周期による変化:排卵期は量が増え、卵白のように透明で伸びる

異常なおりもののサイン

黄色・緑色のおりもの

  • 細菌性腟症
  • トリコモナス腟炎
  • 淋菌感染症
  • 子宮頸管炎

白くてポロポロしたおりもの(カッテージチーズ状)

  • カンジダ腟炎
  • 外陰部の強いかゆみを伴う

血が混じったおりもの

  • 子宮頸がん
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮頸管ポリープ

水っぽいおりものが大量に出る

  • 子宮体がん
  • クラミジア感染症

悪臭がする

  • 細菌性腟症
  • トリコモナス腟炎
  • 子宮内に異物がある

こんな時は受診を

  • おりものの色、量、においが明らかにいつもと違う
  • かゆみや痛みを伴う
  • 性交渉後に症状が出た
  • パートナーにも症状がある

治療法

  • 抗真菌薬(カンジダの場合)
  • 抗生物質(細菌感染の場合)
  • 腟錠や軟膏
  • 性感染症の場合はパートナーも治療が必要

予防法

  • 通気性の良い下着を選ぶ
  • 洗いすぎない(腟内は洗わない)
  • ナプキンやおりものシートをこまめに替える
  • 性交時はコンドームを使用

6. 下腹部痛・骨盤痛

どんな症状?

  • 下腹部の鈍い痛み
  • チクチクした痛み
  • 引きつるような痛み
  • 持続的な痛み、または間欠的な痛み

考えられる原因

月経に関連した痛み

  • 月経困難症
  • 排卵痛
  • 子宮内膜症

感染症による痛み

  • 骨盤内炎症性疾患(PID)
  • 子宮内膜炎
  • 付属器炎

腫瘍による痛み

  • 子宮筋腫
  • 卵巣嚢腫
  • 卵巣腫瘍

その他

  • 卵巣出血
  • 卵巣嚢腫茎捻転(緊急手術が必要)
  • 子宮外妊娠(緊急治療が必要)
  • 便秘
  • 膀胱炎

こんな時はすぐ受診・救急外来へ

  • 突然の激しい痛み
  • 冷や汗、吐き気、嘔吐を伴う
  • 発熱を伴う
  • 立っていられないほどの痛み
  • 妊娠の可能性がある時の痛み

治療法

原因によって異なりますが、主に以下の通りです。

  • 鎮痛剤
  • 抗生物質(感染症の場合)
  • ホルモン療法
  • 手術療法(緊急性がある場合、腫瘍が大きい場合など)

7. 性交痛

どんな症状?

  • 性交時に痛みがある
  • 挿入時に痛い
  • 奥を突かれると痛い
  • 性交後も痛みが続く

考えられる原因

身体的な原因

  • 腟の乾燥(更年期、授乳中、ストレス)
  • 萎縮性腟炎(閉経後)
  • 子宮内膜症
  • 卵巣嚢腫
  • 骨盤内炎症性疾患
  • 外陰部の炎症や傷

心理的な原因

  • 緊張
  • 不安
  • 過去のトラウマ
  • パートナーとの関係性

治療法

  • 潤滑ゼリーの使用
  • ホルモン補充療法(更年期の場合)
  • 炎症や感染症の治療
  • カウンセリング
  • パートナーとのコミュニケーション

我慢せずに相談を

性交痛はデリケートな悩みですが、決して恥ずかしいことではありません。適切な治療で改善できることが多いので、ぜひご相談ください。

8. 外陰部のかゆみ・痛み

どんな症状?

  • 外陰部がかゆい
  • ヒリヒリする
  • 痛みがある
  • 腫れている

考えられる原因

  • カンジダ腟炎
  • 細菌性腟症
  • トリコモナス腟炎
  • 接触性皮膚炎(下着、ナプキン、石鹸などへのかぶれ)
  • 萎縮性外陰腟炎(更年期以降)
  • 性器ヘルペス
  • 尖圭コンジローマ

こんな時は受診を

  • かゆみが強く、日常生活に支障がある
  • 市販薬で改善しない
  • 水ぶくれやイボができている
  • おりものの異常を伴う

治療法

  • 原因に応じた薬物療法(抗真菌薬、抗生物質、抗ウイルス薬)
  • ステロイド軟膏(皮膚炎の場合)
  • 原因となる刺激物の除去

自分でできる対処法

  • 通気性の良い下着を着用
  • きつい衣類を避ける
  • 刺激の少ない石鹸を使う
  • 洗いすぎない
  • ナプキンやおりものシートをこまめに替える

9. 月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)

どんな症状?

身体的症状

  • 乳房の張り、痛み
  • 頭痛
  • むくみ
  • 腹部膨満感
  • 体重増加
  • 疲労感

精神的症状

  • イライラ
  • 気分の落ち込み
  • 不安
  • 情緒不安定
  • 集中力の低下
  • 睡眠障害

PMSとPMDDの違い

  • PMS:月経前3〜10日間に身体的・精神的症状が現れ、月経開始とともに軽快する
  • PMDD:PMSよりも精神症状が重く、日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼす

こんな時は受診を

  • 症状が重く、仕事や日常生活に支障がある
  • 人間関係に悪影響が出ている
  • うつ状態が続く
  • 自傷行為や希死念慮がある

治療法

  • 低用量ピル
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI):PMDDの場合
  • 漢方薬(加味逍遙散、桂枝茯苓丸など)
  • ビタミンB6、カルシウム、マグネシウムのサプリメント

生活習慣での改善法

  • 規則正しい生活
  • 適度な運動
  • カフェイン、アルコール、塩分を控える
  • ストレス管理
  • 十分な睡眠

10. 更年期症状

どんな症状?

血管運動神経症状

  • ほてり(ホットフラッシュ)
  • のぼせ
  • 発汗
  • 動悸

精神神経症状

  • イライラ
  • 不安
  • 抑うつ
  • 不眠
  • 集中力低下
  • 記憶力低下

身体症状

  • 肩こり、腰痛
  • 関節痛
  • 疲労感
  • 頭痛
  • めまい
  • 頻尿

その他

  • 腟の乾燥
  • 性交痛
  • 皮膚の乾燥
  • 体重増加

更年期とは?

閉経前後の約10年間(一般的に45〜55歳頃)を指します。女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで、様々な症状が現れます。

こんな時は受診を

  • 症状が日常生活に支障をきたしている
  • うつ状態が続く
  • 他の病気との区別が必要

治療法

ホルモン補充療法(HRT)

  • 最も効果的な治療法
  • のみ薬、貼り薬、塗り薬がある
  • 定期的な検診が必要

漢方薬

  • 加味逍遙散
  • 当帰芍薬散
  • 桂枝茯苓丸など

その他の薬物療法

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
  • 抗不安薬

生活習慣の改善

  • バランスの良い食事(大豆製品、カルシウムを積極的に)
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理
  • 禁煙

11. 不妊の悩み

不妊とは?

妊娠を希望し、避妊せずに性生活を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠しない状態を不妊といいます。

こんな時は早めに受診を

  • 1年以上妊娠しない
  • 35歳以上で半年以上妊娠しない
  • 月経不順がある
  • 過去に骨盤内感染症や手術歴がある
  • パートナーに精液所見の異常がある可能性

不妊の原因

女性側の原因

  • 排卵障害(多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症など)
  • 卵管閉塞・癒着
  • 子宮因子(子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど)
  • 子宮内膜症
  • 加齢による卵巣機能低下

男性側の原因

  • 造精機能障害
  • 性機能障害
  • 精路閉塞

原因不明 約10〜20%は原因が特定できません。

検査

  • ホルモン検査
  • 超音波検査
  • 子宮卵管造影検査
  • 精液検査(パートナー)

治療法

原因に応じて以下のような治療を行います。

  • タイミング法
  • 排卵誘発
  • 人工授精
  • 体外受精
  • 手術療法

年代別:気をつけたい症状

10代〜20代前半

  • 月経不順
  • 生理痛
  • 避妊・性感染症の予防

20代後半〜30代

  • 子宮頸がん検診
  • 子宮内膜症
  • 不妊
  • 妊娠・出産

40代〜50代前半

  • 更年期症状
  • 子宮筋腫
  • 子宮体がん検診
  • 乳がん検診

50代後半以降

  • 閉経後の不正出血
  • 骨粗鬆症
  • 萎縮性腟炎
  • 子宮脱・膀胱脱

婦人科受診のポイント

受診前に準備すること

  • 最終月経日を確認
  • 症状をメモしておく
  • 基礎体温をつけている場合は持参
  • 服用中の薬があれば伝える

内診について

  • すべての診察で内診が必要なわけではありません
  • 未経験の方、抵抗がある方は事前に伝えてください
  • 超音波検査は腹部からも可能です

リラックスして受診を

婦人科は女性の健康を守る専門科です。どんな症状でも、恥ずかしがらずにご相談ください。私たちは、あなたの悩みに真摯に向き合います。

まとめ

  • 婦人科を受診すべき症状は多岐にわたります
  • 「このくらいで…」と我慢せず、気になる症状があれば受診を
  • 早期発見・早期治療が、あなたの健康を守ります
  • 定期的な婦人科検診(子宮頸がん検診など)も忘れずに
  • 婦人科は女性の一生に寄り添うパートナーです

あなたの体からのサインを見逃さないでください。少しでも気になる症状があれば、ぜひ私たち婦人科医にご相談ください。


【監修】 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長 菅原 正樹

札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。どんな症状でも、お気軽にご相談ください。

愛産婦人科 011-676-1166 お電話でのご予約も受け付けております