
赤ちゃんのこと

赤ちゃんとの新生活
この章では、新生児期の赤ちゃんの特徴や、体の様子、毎日のお世話の基本を解説します。また、赤ちゃんの健康を確かめるために病院で行う大切な検査についてもご紹介します。 赤ちゃんの「今」をよく知って、安心して新しい生活をスタートさせましょう。
新生児について
新生児の特徴
生理的体重減少
生後数日は、飲む量よりうんちやおしっこ、汗など水分の出る量が多いため、一時的に体重が減ります。生まれた時の体重に戻るまで7~10日くらいかかります。
体温
平熱は36.5~37.5℃が平均です。環境に左右されやすいので室温、掛け物に気を配りましょう。手足が冷たいこともありますが、お腹や背中を触って温かければ問題ないことが多いです。長時間抱っこされていたり泣くと体温が上がることがあります。
くしゃみ
赤ちゃんは風邪をひいていなくてもよくくしゃみをします。元気があって、飲みが良ければ様子をみて大丈夫です。
鼻水・鼻づまり
綿棒でとる場合は、手前に見える汚れだけをとるようにし、綿棒を奥までいれないように注意しましょう。いつも通り母乳やミルクが飲めていれば心配いりません。飲みが悪いときや元気がないと感じるときは、小児科を受診しましょう。
嘔吐
赤ちゃんは、胃が縦型をしているので吐きやすいです。「こぽっ」と小さく吐いたり、タラーっと母乳やミルクを出すのは問題ありません。
1日に何回も吐いたり、噴水状に吐いたりする場合、また吐いて元気のない場合は病院にご連絡ください。
げっぷ
出ないこともよくあります。出ない時は2〜3分ほど縦抱きにしてから、顔を横に向かせて寝かせましょう。
しゃっくり
よくみられますが、心配いりません。自然と止まります。
へその緒
生後7~10日位で乾燥してとれます。へその緒がとれて汚れが付着しなくなるまで消毒を続けましょう。
黄疸
肝臓の機能が未熟なため皮膚が黄色くなります。生後4~5日目が最も強く、7~10日位で消えます。眼の黄色みは残ることもあります。
授乳時間になってもぐったりしていて起きない、排泄が少ない、入院中より黄色みが強くなってきた等の症状がある場合は、当院へご連絡ください。
皮膚
皮膚が乾燥し、薄皮がむけたようになりますが、1~2週間できれいな皮膚になります。毎日、できれば1日2回の保湿をしましょう。
おしっこ
個人差はありますが、1日に6回〜10回くらい出ます。
うんち
はじめは胎便という黒っぽいうんちが出ます。徐々に黄色いうんちに変わっていきます。(茶色・緑っぽいこともあります。)血が混じった便・白っぽい便・真っ黒い便でなければ心配いりません。うんちは、1日1回以上出ていれば問題ありません。
うんちが出ない・お腹が張っている時
腹部マッサージ
3・4本の指の腹を使って、お腹にひらがなの「の」の字を書くようにゆっくりと力を入れて押していきます。
肛門刺激
用意するもの
・大人用綿棒
・潤滑油(ベビーオイル、オリーブ油など)
方法
①綿棒の先端に潤滑油をたっぷり付けます
②赤ちゃんの両足を曲げて、お腹の上で固定します
③肛門の綿の部分を肛門に入れます
④肛門の内側の壁をなぞるように、ゆっくりと優しく動かします
※授乳直後は吐いてしまう可能性があるので避けましょう。空腹時や、お風呂の後身体が温まっているタイミングがオススメです。
病院でお渡ししている点眼薬について
黄色や緑色のめやにが出たら、出ている方の目に1日3回1週間続けて点眼してください。
白いめやには清潔なガーゼで拭いてください。
赤ちゃんが産まれた日から1ヶ月間使用できます。
直射日光が当たらない室温で保管してください。
めやにが出なければ、使用する必要はありません。めやにが良くならなかったり、繰り返しめやにが出る場合は、電話連絡の上、受診が必要です。
1ヶ月健診以降は、お近くの小児科に相談してください。
入院中の赤ちゃんの検査
聴力検査
1000人に1~2人の頻度で先天性難聴を抱える赤ちゃんが存在すると言われています。生後早い時期に聴力検査をすることで、異常の早期発見ができます。
- 赤ちゃんが眠っている時か、安静時に行ないます。
- 脳波を測る検査で痛みはありません。20分程度で終わります。
先天性サイトメガロウイルス
サイトメガロウイルスはありふれたウイルスで子供も大人も健康であれば感染しても問題ありません。しかし先天性感染(胎内感染)は脳や聴力に障害を起こす場合があります。
成長に伴って症状が出ることもあるため、生後早い時期に検査をすることで、異常の早期発見ができます。
- 生後入院中におむつの中で採尿するだけの簡単な検査です。
- 有料となります。希望する方のみ検査を行います。
新生児マススクリーニング検査
生まれてすぐの赤ちゃんのための血液検査です。内分泌疾患や代謝異常疾患など、生まれつきの病気を持っているかどうかを調べることができます。
- 生後4日目に赤ちゃんのかかとから採血します。
- 公的事業のため、検査料はかかりません。
原発性免疫不全症・ライソゾーム病検査
生まれてすぐの赤ちゃんのための血液検査です。元気にみえる赤ちゃんでも体の免疫や酵素に関する疾患など、生まれつきの病気をもっていることがあります。
- 生後4日目に赤ちゃんのかかとから採血します。
- 公的事業のため無料ですが、追加検査もご希望の場合は一部有料となります。
どの検査も、生後できるだけ早い時期に病気を見つけて治療を行うことで発症を抑えたり、症状の進行を抑えることが期待できます。
検査結果はすべて1ヶ月健診時に小児科医からお伝えしています。
ケイツーシロップ
ビタミンKを含むお薬です。ビタミンKは血液が固まる際に必要な成分です。母乳中にはビタミンKがほとんど含まれていないため、ビタミンKが不足すると出血を起こす事があります。
症状は生後1週間頃にみられる消化管出血(吐血や下血)、生後1ヶ月頃にみられる頭蓋内出血があります。
これらの病気を予防するために、ビタミンK製剤投与のガイドラインに基づき、生後3ヶ月まで週1回、ケイツーシロップを飲んでもらっています。
飲ませ方
・哺乳瓶の乳首で飲ませる
哺乳びんの乳首だけを赤ちゃんにくわえさせて、シロップの原液を少しずつ流し込んで下さい。
・スプーンで飲ませる
哺乳瓶の乳首を嫌がる場合は、スプーンであげてみましょう。スプーンにシロップの原液を少しずつ入れて赤ちゃんの口に流し込んで下さい。
注意点
- 直射日光、高温多湿をさけてお子さんの手の届かない所で保存して下さい。
- ご使用前に開封し、1回で使い切って下さい。
- 他のお薬と混ぜないで下さい。目、耳、鼻に入らないようにして下さい。
- 10mlくらいの少量のミルクまたは母乳に混ぜて飲ませても大丈夫です。飲みきれる量にして下さい。
Q&A
Q 飲んだ後に赤ちゃんが吐いちゃった!
A 飲ませた後はゲップをさせて下さい。飲んで30分経っていたら吐いても問題ありません。飲んですぐに吐いた時は少し時間をあけて新しいシロップを再度飲ませて下さい。
Q 飲ませるのを忘れてしまった。
A 慌てなくて大丈夫です。気づいた時点で飲ませて下さい。次のシロップは飲ませた日から一週間後に飲ませてください。
Q 吐いたり、こぼしたりして、シロップが日数分足りなくなった。
A シロップがなくなった時点で、終わって大丈夫です。
赤ちゃんのことで困ったら
~こどもの病気やケガのときの連絡先~
*小児救急電話相談 ♯8000
*夜間急病センター(大通西19丁目) 19時~7時 tel 011-641-4316
*日曜・休日当番医療機関 9時~17時
札幌市小児科医会のHPに一覧が掲載されています。
また、救急医療情報案内センター (tel 0120-20-8699) で聞くこともできます。




