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妊娠中の体重管理と栄養

妊娠中の体重管理と栄養

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妊娠がわかったら

妊娠中の体重管理と栄養

お腹の赤ちゃんの健やかな発育に必要な栄養素や、無理なく続ける体重コントロールのコツを分かりやすく解説します。

妊娠中の

妊娠中の体重管理

妊娠中、とても大切な「体重管理」

妊娠中は赤ちゃんの体重や羊水以外に、赤ちゃんへの栄養と、出産を乗り切る体力を蓄えるために、お母さんの体重が増えます。

ただし、必要以上の体重の増えすぎは、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、微弱陣痛になりやすい等、様々なトラブルが起こる可能性があります。

また、妊娠による体重増加や体型の変化を気にして、食事を減らしてしまう方もいます。これは、赤ちゃんの発育にもお母さんの健康にも支障をきたしてしまう可能性もあります。

妊娠中の体重管理とは「太らない」のではなく、栄養をきちんととって、適切な範囲で体重を増やし、出産をすることです。

***自分の体重増加の目安を知りましょう***

妊娠中の望ましい体重増加は、妊娠前の体型によって異なります。

初回の保健指導(12〜16週ごろ)で体重増加の目安をお伝えします。

妊娠中の食生活

妊娠は、食生活を見直すよい機会です。体重管理には、「バランス良く食べ、必要な栄養をとる」ことが大切です。

食事はそれぞれ「主食」「主菜」「副菜」を組み合わせ、間食で乳製品や果物を摂るとよいでしょう。

【主食】炭水化物(ご飯・パン・麺類)身体を動かす力になるもの

【主菜】たんぱく質(肉・魚・大豆製品・卵)身体をつくるもとになるもの

【副菜】ビタミン・ミネラル・食物繊維(野菜・きのこ・海藻類)身体の調子を整えるもの

【果物・牛乳・乳製品】食事で摂りきれないビタミンやミネラルの補給

※果物は糖分が多く、夜間に食べると体重増加の原因になるので、日中の間食がお勧めです

※乳製品は、低脂肪乳やスキムミルクで低カロリーに摂取することができます

妊娠中の外食・市販品の選び方

妊娠中も体調に合わせて、市販品や外食のほか、コンビニエンスストアも上手に活用すれば料理の負担を減らすこともできます。 単品ではなく、定食ものを選んでいろいろな食品を摂るようにしましょう。

ただし、塩分が多くなりやすいので汁物などの味が濃いものは残す工夫を。

そして、1つのグループが重ならないようにすることがポイントです。

おにぎりやパンのみ、と単品だと炭水化物に偏りがちです。消化は良い分、空腹になり間食が増えやすくなるため、野菜がたっぷり入ったスープやサラダを1品追加してみましょう。

菓子パンは、糖分、脂肪分を多く含むため、「高エネルギーのお菓子」で体重増加の原因のひとつ。食事としてのパンは、サンドイッチなどたんぱく質や野菜が一緒に摂れるものがお勧めです。

丼ものは、ご飯が多く入っているものが多く、野菜類など副菜類が不足しがち。定食ものにしたり、お浸しや煮物等の小鉢を1品追加することでバランスが良くなります。

インスタントラーメンなどを含め、麺自体にも塩分が含まれるため、汁は残しましょう。栄養成分の食塩相当量をチェックしましょう。

妊娠中に積極的に摂りたい栄養素

身体の隅々まで酸素を運ぶ赤血球の色素(ヘモグロビン)の主な成分で、酸素を身体中に運び、貧血を予防・改善します。

妊娠すると、血液量が増え、血液が薄くなると同時に、赤ちゃんもお母さんから鉄を含む栄養を吸収するため、妊娠前よりも多く鉄を摂る事が必要です。

不足すると、貧血のほか、立ちくらみ、疲労感の他、出産時に陣痛が弱くなりお産が長引いたり、出血等でお母さんの回復も遅くなりがちです。

鉄が多く含まれる食品

【ヘム鉄】牛肉・豚肉・鶏肉などの肉類、かつお・いわしなどの魚類

【非ヘム鉄】卵類、ほうれん草・小松菜などの緑黄色野菜、豆腐・納豆などの大豆製品、しじみ・あさりなどの貝類

「非ヘム鉄」はたんぱく質やビタミンCと一緒に摂る事で吸収率があがります。ヘム鉄を含む肉や魚などのたんぱく質と緑黄色野菜や果物類を組み合わせましょう。

食物繊維

妊娠中は腸が圧迫されることで、腸の動きが鈍くなり、便秘になりがちです。便秘の解消には食物繊維が欠かせません。

食物繊維は水に溶けやすく、便を柔らかくするものと(水溶性食物繊維)、便のかさを増して、腸の動きを促すもの(不溶性食物繊維)があります。

食物繊維が多く含まれる食品

【水溶性】芋類やこんにゃく、果物、海藻類

【不溶性】豆類、きのこ類、穀類・根菜類

野菜類は加熱する事でかさが減るので、多く食べることができます。噛みごたえもあるので、満腹感も得られやすく、おすすめです。

葉酸

ビタミンB群のひとつで、血液のもとである赤血球を作る栄養素。不足すると、貧血を引き起こします。また、体内で鉄やたんぱく質を合成する時にも使われ、赤ちゃんの身体や器官を作る妊娠初期には特に必要な栄養素です。

葉酸が多く含まれる食品

豆腐・納豆などの大豆製品、きのこ類、ほうれん草・小松菜などの緑黄色野菜

葉酸は水や熱に弱い栄養素のため、さっと調理したり、具だくさんの汁物にして汁ごと食べることもお勧めです。

当院では、バイエル薬品のエレビット(葉酸を含むマルチサプリメント)をご購入いただけます。

妊娠中に控えたい食品

妊娠中のお母さんは、免疫力が低下してしまい、感染症にかかりやすくなります。

風邪、インフルエンザ、風疹のほか、食中毒も感染症の1つ。ごくまれに赤ちゃんに影響を及ぼすこともあるリステリア菌やサルモネラ菌等の食中毒を予防するために、食べる時は必ず加熱調理をしましょう。

また、生野菜や果物はしっかりと水洗いしてから食べましょう。

【リステリア食中毒の原因食品例】

生ハム、ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、スモークサーモンや肉・魚のパテなど

【サルモネラ食中毒の原因食品例】

卵とその加工品、鶏肉など

そのほか、食物連鎖の関係で自然界にある水銀が取り込まれている可能性があるためキンメダイやマグロなど、食べる量に気をつける必要があるものもあります。これらの魚類は週1回、1/2切れ程度(約40g)にしましょう。

塩分のとりすぎに要注意〜妊娠高血圧症候群の予防〜

妊娠中は、食事量が増えると同時に、摂取する塩分も増えがちになります。塩分の摂りすぎは、むくみや血圧上昇の原因となり、妊娠後期に発症しやすい妊娠高血圧症候群を引き起こす可能性もあります。妊娠中に限らず、普段から塩分控えめの食事を心がけましょう。

【塩分を抑えるポイント】

  • 旨味、酸味、香辛料を利用する(天然だし、レモン、胡椒など)
  • 調味料は「かける」より「つける」
  • 汁物の汁は残す
  • 濃い味付けの料理は1食につき1品まで(漬物、ハムやベーコン、かまぼこなどの味が濃いと感じる加工品に注意)

妊娠中の食事は気をつけることもいろいろありますが、ストレスをためずに楽しく食事をとりましょう。