
会陰マッサージって?やった方がいいの?
会陰マッサージとは、腟と肛門の間にある「会陰(えいん)」という部分を、オイルなどを使ってマッサージし、皮膚の伸縮性を高めるセルフケアです。
出産時、赤ちゃんが産道を通るときに会陰は大きく引き伸ばされます。このとき、会陰の伸びが足りないと、裂けてしまったり(会陰裂傷)、裂けるのを防ぐためにあらかじめ切開したり(会陰切開)することがあります。
会陰マッサージを行うことで、会陰の皮膚や筋肉を柔らかくし、その伸縮性を高める効果が期待できます。
もちろん、すべてのお産で傷を完全に防げるわけではありませんが、重度の会陰裂傷のリスクを減らすという研究報告もあり、出産に向けた準備として取り組む価値は十分にあると言えるでしょう。
準備編:いつから?何が必要?
まずは、マッサージを始める前に知っておきたい準備についてです。
いつから始める?
一般的に、妊娠35〜36週ごろから始めるのがおすすめです。正期産に入る妊娠37週以降であれば、より安心して始められます。
どのくらいの頻度で?
毎日行うのが理想ですが、無理のない範囲で週に3〜5回程度でも効果が期待できます。1回のマッサージは5分〜10分を目安にしましょう。
準備するもの:おすすめのオイル
マッサージには、滑りを良くし、皮膚を保護するためのオイルが必須です。皮膚に優しく、安心して使える以下のようなオイルがおすすめです。
- スイートアーモンドオイル
- ホホバオイル
- カレンデュラオイル
- 会陰マッサージ専用のオイル
ベビーオイルや鉱物油、香りの強いアロマオイルなどは、デリケートな部分への刺激になることがあるため避けましょう。
もし、皮膚トラブルがある場合は無理に行わず、中止しましょう。
実践編:会陰マッサージの具体的な方法
リラックスできる環境を整えて、焦らずゆっくり行いましょう。入浴後など、血行が良くなっている時に行うのが特におすすめです。
【基本の姿勢】
お腹が大きくなると、手が届きにくいことがあります。自分が一番楽だと感じる姿勢を見つけましょう。
- ベッドやソファでクッションにもたれかかり、膝を立てて足を開く
- お風呂の椅子に座り、片足を少し高く上げる
- お風呂場で立ち、片足を椅子に乗せる
【マッサージの手順】
- 清潔にする
始める前に、必ず石鹸で手をきれいに洗い、爪を短く切っておきましょう。 - オイルを塗る
オイルを指先にたっぷりと取ります。まずは会陰の表面(腟口の下から肛門のあたりまで)に、優しくクルクルと円を描くようにオイルをなじませます。 - 親指で優しく押す(腟の中から)
リラックスして、腟の中に親指の第一関節くらいまでをゆっくりと入れます。 - 会陰を伸ばす
息を「ふーっ」と吐きながら、親指で会陰を肛門の方向(真下)に向かって、痛みがない・または強くない程度にゆっくりと30秒〜1分ほど押して伸ばします。
※感覚の目安: 少しピリピリするような、皮膚が伸びている感覚があればOKです。強い痛みを感じる場合は、力を入れすぎています。
U字マッサージ
次に、親指を腟の中から左右に動かし、アルファベットの「U」を描くように、会陰を内側から広げるようにマッサージします。(時計の針でいうと、4時から8時の方向)これを数回繰り返します。
必ず守って!会陰マッサージの注意点
安全に行うために、以下の点は必ず守ってください。
【こんな時はマッサージを中止・お休みしましょう】
- お腹の張りや痛みを感じる時
- 出血がある時
- 体調がすぐれない時
- 腟カンジダ症や性器ヘルペスなど、感染症の疑いがある時
【特に注意が必要な方】
切迫早産と診断されている方や、医師から安静の指示が出ている方は、自己判断で行わず、必ずかかりつけの医師や助産師に相談してから開始してください。その場合、正期産である妊娠37週以降に始めるのがより安全です。

まとめ
- 会陰マッサージは、会陰の伸縮性を高め、出産時の傷を軽減する効果が期待できるセルフケアです。
- 妊娠35〜36週ごろから、リラックスできる時に行いましょう。
- 肌に優しい植物性のオイルを使い、清潔な手で行ってください。
- 痛みがない・または強くない程度の力加減がポイントです。痛みを感じたら力を弱めましょう。
- お腹の張りや出血など、異常を感じたらすぐにお休みし、心配な時はかかりつけ医に相談してください。
会陰マッサージは、出産に対する不安を和らげるだけでなく、ご自身の体と向き合い、赤ちゃんを迎える準備をする大切な時間にもなります。無理のない範囲で、ぜひ今日から取り入れてみてください。





