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【医師解説】臨月の内診「グリグリ」はなぜするの?出血しても大丈夫?卵膜剥離の効果と痛み

【医師解説】臨月の内診「グリグリ」はなぜするの?出血しても大丈夫?卵膜剥離の効果と痛み

2026/01/31(Sat)

【医師解説】臨月の内診「グリグリ」はなぜするの?出血しても大丈夫?卵膜剥離の効果と痛み

正期産(妊娠37週以降)の妊婦健診で、多くの妊婦さんが恐れているもの。 それは、内診の際に医師が行う通称「内診グリグリ」ではないでしょうか。 「噂には聞いていたけど、声が出るほど痛かった…」 「家に帰ってからも出血していて不安」 「これって絶対にやらないとダメなの?」 そんな不安や疑問を持つ方のために、今回はこの「グリグリ」の医学的な正体と、なぜ行う必要があるのかについて解説します。 ご指摘ありがとうございます。これは非常に重要な視点ですね。 「内診台に上がる=毎回グリグリされる」と恐怖心を抱いている妊婦さんも多いため、「通常の内診」と「処置としての卵膜剥離」は別物であることを冒頭ではっきりと区別する構成に修正しました。 記事の第1章として追加・再構成しました。

【医師解説】臨月の内診「グリグリ」はなぜするの?出血しても大丈夫?卵膜剥離の効果と痛み

臨月(妊娠37週以降)の妊婦健診で、多くの妊婦さんが恐れているもの。 それは、内診の際に医師が行う通称「内診グリグリ」ではないでしょうか。

「噂には聞いていたけど、声が出るほど痛かった…」 「家に帰ってからも出血していて不安」 「これって絶対にやらないとダメなの?」

そんな不安や疑問を持つ方のために、今回はこの「グリグリ」の医学的な正体と、なぜ行う必要があるのかについて解説します。

1. そもそも「内診」=「内診グリグリ」ではありません

まず、誤解を解いておきたい大切なポイントがあります。 それは、「臨月の内診ですべての妊婦さんにグリグリ(卵膜剥離)をするわけではない」ということです。

通常の「内診」は必須の検査です

内診自体は、お産に向けて以下の状態を確認するために不可欠な検査です。

  • 子宮口がどのくらい開いているか(開大度)
  • 子宮の出口がどのくらい柔らかくなっているか(展退度)
  • 赤ちゃんの頭がどこまで下がってきているか

これらを確認するだけの通常の内診であれば、卵膜剥離のような強い刺激はありませんが、痛みの感じ方には個人差があります(子宮口の位置や緊張具合によっては、痛みを感じることもあります)。

「グリグリ」は必要な人にだけ行う処置です

いわゆる「グリグリ」は、通常の内診に加えて行う医療処置です。 予定日よりだいぶ早い段階や、自然に陣痛が来そうな順調な経過の方に、無理に行うことはありません。あくまで「お産を促す必要がある」と医師が判断した場合に行われます。

2. 「内診グリグリ」の正体は?

では、その処置とは具体的に何をするのでしょうか。 正式名称は「卵膜剥離(らんまくはくり)」といいます。 英語では「メンブレン・スイープ(Membrane sweep)」と呼ばれ、世界中で行われている一般的な処置です。

赤ちゃんを包んでいる膜(卵膜)は、子宮の壁にぴったりと張り付いています。 医師が指を子宮口に入れ、この「卵膜」と「子宮壁」の間を優しく(時には少し強めに)引き剥がすような動作をします。 この時の指の動きが「グリグリ」されているように感じるため、一般的にそう呼ばれています。

3. なぜ、あんなに痛いことをするの?

決して妊婦さんをいじめているわけではありません。 これには「お産のスイッチを入れる」という明確な医学的メリットがあるのです。

① 陣痛を誘発するホルモンが出る

卵膜を剥がす刺激によって、「プロスタグランジン」というホルモンの分泌が促されます。 このホルモンには、「子宮の出口(子宮頸管)を柔らかくする」「陣痛(子宮収縮)を起こさせる」という重要な働きがあります。

② 予定日超過を防ぐ

予定日を大幅に過ぎると、胎盤の機能が落ちたり、羊水が減ったりして赤ちゃんのリスクが高まります。 自然な陣痛を促すことで、予定日超過による過期産や、薬剤を使った陣痛促進剤の使用を回避できる可能性が高まります。

つまり、「内診グリグリ」は「そろそろ赤ちゃん、出ておいで〜」という強力なノックなのです。

4. どのくらい痛い?痛みを逃すコツ

正直に申し上げますと、卵膜剥離を行う場合は多くの方が痛みを伴います 特に、まだ子宮口が硬く閉じている場合や、奥の方にある場合は、指を入れるだけでも痛みを感じやすいです。

【痛みを減らすコツ】 一番大切なのは、息を止めずに長く吐くことです。 痛いと無意識にお尻や内ももに力が入ってしまいますが、筋肉が緊張すると余計に痛みが強くなります。 内診台に上がったら、「ふーーっ」と息を吐いて、体の力を抜くように意識してみてください。

5. 出血しても大丈夫?「おしるし」との関係

処置の後、茶色やピンク色、時には鮮血が混じったおりものが出ることがあります。 これは、おしるし(産徴)の一種で、刺激によってお産が進んだ証拠ですので、基本的には心配いりません。 ナプキンを当てて様子を見ましょう。

【こんな時はすぐに連絡を】

  • 生理の2日目のような大量の出血がある
  • 血の塊が出る
  • 激しい腹痛が絶え間なく続く

これらは常位胎盤早期剥離などのトラブルの可能性があるため、昼夜問わずすぐに産院へ連絡してください。

6. 効果はいつ出る?

個人差は大きいですが、卵膜剥離を行った後、24時間〜72時間以内(1〜3日以内)に陣痛が始まったり、破水したりするケースが多く見られます。 一方で、一度では始まらず、数回行ってようやく陣痛が来る方もいます。

「グリグリされたのにお腹が痛くならない…」と焦る必要はありません。「刺激は伝わっているはず」と信じて、ゆったりと過ごしましょう。

まとめ

臨月の内診グリグリ(卵膜剥離)は、痛みを伴うため怖いと感じる方も多いでしょう。 しかし、これは「お産を安全に、スムーズに進めるための医療処置」であり、赤ちゃんに会うためのラストスパートの合図でもあります。

もちろん、すべての妊婦さんに必ず行うわけではありません。 「どうしても痛みが強くて耐えられない」「今日は心の準備が…」という場合は、遠慮せず医師に相談してくださいね。 「もうすぐ会える!」という気持ちで、一緒に乗り越えましょう。

【監修】

医療法人育愛会 愛産婦人科

院長 菅原 正樹

札幌市手稲区の産婦人科 医療法人育愛会 愛産婦人科 院長の菅原です。 私たちは、女性のあらゆるライフステージに寄り添い、一人ひとりのお悩みに応える医療を大切にしています。お産に対する不安や痛みへの恐怖など、どんなことでもお気軽にご相談ください。