
「安定期に入って、胎盤が完成しましたね」
妊婦健診でエコーを見ながらそう言われて、ホッとした経験はありませんか?でも、そもそも「胎盤(たいばん)」って、お腹の中で何をしている臓器なのでしょうか。
実は胎盤は、ママと赤ちゃんを繋ぐための妊娠中しか存在しない期間限定の臓器です。お腹の赤ちゃんがすくすく育つために、24時間休まず働き続けてくれる胎盤の“すごい役割”を、助産師が分かりやすく解説します。
1. 胎盤の「3つのすごい役割」
胎盤は、へその緒を通じて赤ちゃんと繋がっています。お腹の中でまだ呼吸や食事ができない赤ちゃんに代わって、主に3つの大切な役割を果たしています。
①赤ちゃんの肺になる(呼吸)
赤ちゃんは羊水の中に浮いているため、肺で直接呼吸ができません。ママの血液から「酸素」を受け取り、赤ちゃんが出した二酸化炭素を回収してママの体に戻すという、呼吸の代わりをしてくれています。
②赤ちゃんの胃腸になる(栄養とゴミ処理)
ママが食べたごはんの栄養素を、赤ちゃんが吸収しやすい形に変えて、へその緒から送り届けています。また、赤ちゃんから出た老廃物(ゴミ)を受け取って処理する役割も持っています。
③赤ちゃんのバリアになる(免疫とフィルター)
ママが持っているウイルスへの免疫(抗体)を赤ちゃんにプレゼントし、病気から守ってくれます。また、ある程度の有害物質が赤ちゃんに届かないようにブロックするフィルターの役割も果たしています。
2. 胎盤はいつできるの?
妊娠が成立すると、赤ちゃんの成長と同時に胎盤も少しずつ作られ始めます。 そして妊娠15週〜16週頃(妊娠5ヶ月頃)になると、胎盤がしっかりと完成します。この時期を一般的に安定期と呼びます。
胎盤が完成すると、赤ちゃんへ安定して血液や栄養が送られるようになり、ママのホルモンバランスも落ち着いてくるため、つわりがラクになる方が多いのです。
3. 胎盤のためにママができることはある?
胎盤は、赤ちゃんの成長を支えるために毎日休まず働いています。
「胎盤の状態をよくする方法はありますか?」と聞かれることがありますが、実は特別なサプリメントやケアは必要ありません。
大切なのは、
- バランスよく食べる
- 十分な休息をとる
- 禁煙する
- 妊婦健診をきちんと受ける
など、妊娠中の基本的な健康管理です。
胎盤はママの体の状態の影響を受けながら働いています。無理をしすぎず、自分の体を大切にすることが、結果的に赤ちゃんへのサポートにつながります。
4. お産が終わると、胎盤はどうなるの?
約10ヶ月間、赤ちゃんを守り育ててくれた胎盤。お産で赤ちゃんが元気に産声をあげた後、数分〜数十分ほどで、胎盤も自然と子宮から剥がれ落ちて体の外へ出てきます(後産(あとざん)とも呼ばれます)。
重さは約500gもある、とても立派な臓器です。当院では、ご希望があれば出産後にご自身の胎盤を見ていただくこともできます。「こんなに立派なもので繋がっていたんだ!」と、命の神秘に感動されるママもたくさんいらっしゃいます。
まとめ:あなたの体は、今日もすごい仕事をしています
お腹の中で、自分以外のもう一つの命を生かすために、新しい臓器をゼロから作り上げているママの体。本当に神秘的で、すごいことですよね。
「今日も赤ちゃんに酸素を送ってくれてありがとう」と、時々お腹に手を当てて、24時間体制で頑張っている自分自身の体もたくさん褒めてあげてくださいね。




